島空間を豊で自由な表現空間へ
松田悦子さんの試み(1)
粟島、上新田・塩谷の北の端、京の浜に面して
松田悦子さんご夫婦の住まいがあります。
お宅が近づくと、辺りの空気が独特の雰囲気を
醸し出しているのが、誰にでもすぐ感じ取れます。
の前に納屋が有り、その前に畑が広がっている、
粟島の何処にでもある景色です。
実は松田さんはカンバスに絵を描くように、
何年もかけてコツコツと、この空間に
「悦子ワールド」を描いてきたのです。
もともと粟島生まれではない悦子さんは、ご主人の
お話では、嫁いできた時から「粟島にほれ込んで
しまった」のだそうです。
上新田、塩谷の松田さんご夫婦の住まい。

家の周り、畑のそこここ、木陰の
片隅に、廃棄された漁具のブイを
加工した「ブイブイ人形」が
佇んでいます。
どの人形も与えられた場所で生まれ、
暮らしている妖精のようです。
どの人形も個性的で表情豊、
今にも何かしゃべり出しそうでは
ありませんか?
道路から玄関への
階段、
手づくりのサインと
レトロなリヤカーに
積まれた野の花が
お出迎えです。
家の周りのブロック塀には、粟島で解体された古民家から収集してきた鬼がわらがコレクションされています。ずらりと並んでいるのは丸太と、たこつぼに描かれたお地蔵様です。

悦子さんのお宅をお訪ねして感じることは、辺り全体がほのぼのした光にふわっと包まれているような印象であることです。それはなんとも不思議な感覚で、普通の静かな農家の空間なのですが、どこからか昔話の登場人物や、生き物たちのひそひそ話す声や、クスクス笑う声が今すぐにでも聞こえてきそうなのです。粟島の自然と、光と風、波の音の中に溶け込んで、訪れる者たちをいつの間にか非日常の世界まで誘ってしまう。そんな感じなのです。